ウィリアムモリスから思う現代デザイン
ウィリアムモリス(ウィキペディアより引用)
ウィリアムモリスは結構有名なので、知っている人も多いと思います。
彼は19世紀イギリスの詩人、デザイナーです。
産業革命によって工業製品が効率よく作られる反面、職人の手技が損なわれ、粗悪な商品が大量生産される状況を憂い、中世にあこがれて、生活と芸術を融合させようと活動したとされています。
モリスが数年間住んだレッドハウス(ウィキペディアより引用)
植物をつかったテキスタイルや書籍のデザイン
(ウィキペディアより引用)
現代でも、かつてパソコンがなかった時代にはデザイナー(主にグラフィックデザイン)たちが手技で作っていた物が、マッキントッシュやアドビーのイラストレータ、フォトショップなどの登場によって誰でも制作が可能になった反面、やはり粗悪なデザインが市場にあふれるようになったように思います。
なんとなく似ていますね。
そして僕もそういうソフトの登場の波にのってデザインをやり始めた人間なのでえらそうな事はまったく言えません。今思うと数々よくないものを作ってきたように思います(現在もかも知れませんが)。
手で作ったものが良く、パソコンで作ったものが悪いという訳ではありませんが、人間の手によって生み出される独創性、不規則性にまだ機械は追いついていないように感じます。
ボタニカルアートやカリグラフィというものに出会い、よりそういった意識が芽生えてからアナログ画材を使って絵を描くようになりました。人が美しいと感じるヒントは自然、特に植物の中にあると考えるようになったのです。
モリスもきっと同じような事を考えたのかも知れません。モリスは親の資産があった事や、その実行力によって時代の波に逆らっても自分の理想を追い続けましたが、多くの人はそのような思想を描いてもなかなか実現させる事ができない現状もあると思います。
そのように生きる為には、ある程度お金が必要なように思います。
経済的な余裕がないと、お金を得るため日々の仕事に追われ、技術を身につけるのに時間がかかってしまい、いずれは情熱が失われていく事が原因と思います。
そうならない為には、社会とつながりを持つ為の社交性と、自分の中の芸術性を両立させていく必要があるようです。あたりまえですかね・・・。でも最近は本当にそう思うのです。